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2023年4月26日 / 性能
太陽光熱利用システムとは?仕組みや種類、蓄熱できるメリットも解説
環境に優しいクリーンなエネルギーの1つに「太陽光熱利用システム」があります。
呼び方が似ているものに「太陽光発電」がありますが、まったく別のシステムです。
この記事では、太陽光熱利用システムの仕組みや種類、メリット・デメリットについて解説します。
導入を考えている人はぜひ参考にしてください。
目次
1. 太陽光熱利用システムとは
太陽光熱利用システムとは、太陽の光エネルギーを熱に変えるシステムのことです。
太陽集熱器を、家の屋根や屋上、外壁などに設置し、温水や温風を作り出し、給湯や暖房に利用します。
省エネ対策としても有効なシステムで、住宅はもちろん、ホテルや旅館、医療機関、福祉施設などにも設置されています。
太陽光熱利用システムの仕組み
現在、普及しているものには太陽熱温水器とソーラーシステムがあります。
いずれも、燃料や電力はほぼ使用せず、太陽の熱を主に利用して温水や温風を作ります。
太陽熱温水器の場合は、集熱器に貯湯槽が組み込まれており、満水状態のときには400㎏ほどになるのが特徴です。
そのため、既存住宅への太陽熱温水器の取り付けも可能ですが、家が太陽熱温水器の荷重に耐えられる作りであることが必要条件となります。
太陽光熱利用システムと太陽光発電の違い
東京都環境局によると、太陽光熱利用システムは太陽の光エネルギーを熱に変える設備のことで、変換効率は45~60%といわれています。
生み出された熱の主な用途は、給湯、暖房、冷房に限られます。
対して、太陽光発電は太陽の光エネルギーを電気に変える発電方法で、変換効率は15~20%と太陽光熱利用システムよりも変換効率は低いものの、汎用性の高さが特徴です。
生み出されたエネルギーは「電気」として使えるため、電化製品なら何でも利用でき、売電も可能となっています。
導入コストは、太陽光熱利用システムが約50万、太陽光発電が約140万円と、金額に大きな差があるのも特徴です。
※参考:実例!太陽熱導入ガイドブック
蓄熱により夜間や雨天でも使用可能
太陽光熱利用システムは、太陽光発電と同じように、夜間や雨天など、太陽が出ていない、もしくは太陽の光が十分な量に達していない場合には、熱を作り出せません。
ただし、蓄熱装置を設置すれば、日中に作り出した熱を蓄えておき、夜間や雨天でも利用することができます。
2. 太陽光熱利用システムの種類
太陽光熱利用システムには、液体集熱式と空気集熱式の2種類があります。
それぞれについて解説します。
液体集熱式
液体集熱式とは、屋根に設置した集熱器内の不凍液を太陽光で温め、循環させるシステムのことで、温水や床暖房として利用できます。
太陽熱で温まった不凍液が蓄熱槽内の水を熱し、お湯を作ります。
温度が低い場合は、補助ボイラーを使って適温にして使用する仕組みです。
集熱器には平板型と真空管型があり、以下のような特徴があります。
・平板型集熱器:設置に傾斜角度が必要。真空管型に比べて安価
・真空管型集熱器:水平に設置できる。平板型に比べて高価
いずれも、集熱器と蓄熱槽は一体型ではないため、家に荷重がかかりにくいのが特徴です。
そのため、既存の住宅への後付け設置や、太陽光発電と併用して設置もできます。
ただし、水漏れ・凍結の心配があります。
空気集熱式
空気集熱式とは、空気を集熱器に取り入れて、温めた空気を循環させるシステムで、空気集熱式も給湯や床暖房に利用できます。
集熱器に集めた空気をそのまま暖房に利用するため、利用効率が高いのも特徴の1つです。
空気を利用したシステムなので、水漏れや凍結の心配がありません。
空気集熱式の場合は、夏場に室内の暖かい空気を外へ排出したり、夜間の冷気を取り入れたりして、冷房として利用できるタイプもあるのが液体集熱式と異なる点です。
空気集熱式の場合は、屋根や壁面に設置するため、ダクトを施工するためのスペースが必要になりますが、家の設計段階で一体化したデザインにするため後付け感がありません。
3. 太陽光熱利用システムを導入するメリット
太陽光熱利用システムを導入するメリットを解説します。
環境に優しい
太陽光熱利用システムは太陽熱を利用してお湯や温風を作り出す設備です。
太陽熱は何度でも繰り返し使える再生可能エネルギーであり、地球に負担をかけにくいという特徴があります。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出削減にもつながる、クリーンでエコな暮らしができます。
光熱費を削減できる
太陽光熱利用システムの利用用途は給湯と暖房に限られますが、補助熱源として有効に利用できます。
テレビや照明、ガスコンロなど、給湯と暖房以外の設備には太陽光熱利用システムは使えませんが、家全体の電気代・ガス代の削減が可能です。
一般的に、熱を発生させるシステムには大きなエネルギーが必要になるため、給湯や暖房などの「熱」が必要なところをカバーできると、光熱費を大きく削減することができます。
面積が限られていても導入できる
太陽光熱利用システムはエネルギー変換効率が高いため、設備の面積は狭くても十分な効果が期待できます。
液体集熱式の太陽光熱利用システムであれば、屋根の面積が狭くても載せやすく、家のデザインを損なうことも少ないです。
空気集熱式の場合は設計段階での設置が必要になりますが、屋根や壁面を効率よく利用しての設置が可能です。
補助金や助成金が受けられることがある
太陽光熱利用システムは、再生可能エネルギーである太陽光を利用するシステムです。
国は再生可能エネルギーの普及を推進しているため、再生可能エネルギーの設置に補助金や助成金を設定している場合もあります。
また、国の制度が利用できない場合も、自治体などが補助金制度を用意しているケースもあります。
太陽光発電システムに比べると、補助金制度が少なかったり、補助金額が少なかったりする傾向にありますが、導入の際は調べてみることをおすすめします。
災害時にも使える
太陽光熱利用システムは、太陽の光があればエネルギーを作り出すことができるため、災害時に利用できるメリットがあります。
停電や断水時であっても、貯湯槽にお湯が貯まっていればそのまま利用することが可能です。
飲用には向きませんが、非常時であっても温かいお湯が使えたり、床暖房が使えたりするのは、精神的な安心感につながります。
住宅ローンを利用できる
太陽光熱利用システムは、リフォームの場合はリフォームローン、新築の場合は住宅ローンの対象になります。
金融機関においても、環境に優しいエネルギーに対して優遇する動きが出ており、対象となる設備にかかる金利を低くするといった措置をしているところもあります。
4. 太陽光熱利用システムを導入するデメリット
太陽光熱利用システムにはデメリットもあります。デメリットについて解説します。
太陽が当たらないときは費用対効果が悪い
太陽光熱利用システムは、太陽の熱を利用するため、太陽が当たらないときはエネルギーを作り出せず、費用対効果が悪くなります。
そのため、設置場所は十分に検討が必要です。
日照時間が短い方向に設置してしまったり、周りの建物の影になったりしてしまうところに設置してしまうと、思っていたほど光熱費の削減ができないとなりかねません。
また、屋根に設置するタイプでは、太陽が当たる期間が短くなってしまうため、降雪量が多い地域も注意が必要です。
汎用性が低い
太陽光熱利用システムは、利用用途が給湯や暖房、一部の冷房に限られるため、汎用性は低いです。
あくまでも補助熱源としての位置付けになるため、家中のエネルギーを1つの設備ですべてまかないたいという場合には向きません。
また、余ったエネルギーを買い取ってもらうこともできません。
5. 太陽光熱利用システムの現状と今後の予測
太陽光熱利用システムは、一般住宅のみならず、業務用として、日本では主にホテルや旅館、医療機関、福祉施設、学校などの給湯・暖房に利用されています。
設備の設置に対して国や自治体の補助金制度や助成金制度があることからも、国としても積極的な利用を考えていることがうかがえます。
日本では家庭用の太陽光熱利用システムの設置は減っているものの、太陽光発電と併用設置しすることで、エネルギー効率が最大化する事例も出ています。
太陽光熱利用システムはエネルギー変換効率が高いため、設置面積が狭くても十分な効果が期待できます。
6. 太陽光熱利用システムの業者の選び方
太陽光熱利用システムを設置する際には、業者選びが重要です。
施工に慣れていない業者に頼んでしまうと、設備を十分に生かせない可能性があるからです。
業者を選ぶ際は、以下を確認しましょう。
・世帯状況、利用用途に合わせた提案をしてくれる
・建物の状況に合わせた提案をしてくれる
・図面を作成してくれる
・質問への回答が適切である
・アフターフォローや保証が充実している
太陽光熱利用システムは、太陽の熱が当たらないと、エネルギーが作り出せません。
日照量の多い方角や家族の人数に合った設備の面積など、細かい確認が必要になります。
知識を必要とするため、質問への回答があやふやだったり、メリットばかり伝えてくる業者は注意です。
長く使う設備のため、アフターフォローや保証内容の確認もしましょう。
7. まとめ
太陽光熱利用システムは、太陽の光を利用したクリーンなシステムです。
利用用途は主に給湯、暖房と限られますが、この2つは家庭内のエネルギー消費の多くを占めるため、太陽光熱利用システムを使うことで、光熱費の削減につながります。
ただし、太陽の光が当たらないと機能が十分に発揮できないため、設置場所には注意が必要です。
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会社名:田中建設株式会社
部署名:経営企画部
執筆者名:大勢待 昌也
執筆者の略歴 保有資格 住宅ローンアドバイザー
執筆者のSNSのリンク:https://www.facebook.com/oosemachi
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